ニュース・日記

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風通信73

2016/01/26(Tue)
風通信 |
一昨日昨日と、雪が降り続けました。
これほどの降雪は久しぶりだった。
稽古後の深夜の道路凍結が嫌だったので、
月曜日の稽古は中止。
本番に向けて、
まず関係者が気をつけなければならないことは、
病気と怪我です。
そのための心構えは常に必要だから、
稽古も中止という判断です。
今回の客演の役者さんは遠くは
飯塚、朝倉から参加してもらっているしね。

ところで、
カール・グスタフ・ユングのいう
「シンクロシティ」というのは、確かな気がする。

先日、突然、ほんとにふと・・・、若い友人のことが頭に浮かんだ。
元気にしてるかなぁ・・・って。
すると、数日して彼からメールが来たのです。
合理的に言えば単なる偶然だし、
それを否定するのにやぶさかではない。
まあ、これが「シンクロシティ」なんです。
ポール・オイスターだったか、
こんな話を集めて一冊の本にしているくらいだから、
風が西から東に吹くような珍しくもない話なのだと思う。
おそらくこれを体系づけると宗教に近づくんだろうけれど、
僕は宗教的啓示にはあまり興味がないので、言及はしない。
河合隼雄さんに言わせると、
これは僕らの心の深いところにある、自分では決して意識できない
魂のようなものの共鳴ということになるらしい。
そうかもしれないですね。
近代の合理性では説明できないけれど。

ときどき、役者にとって大切なのは、
この魂の共鳴ではないかと思うことがある。
役者はそこまで降りていかねばならない。
役者は、俗に「役を演じる」というけれど、
僕は「役を生きる」ことが
役者を構成する重要なエレメントだと思うからだ。
自分の演技を支えるために、
自分の内部をどれだけ掘り下げていけるかが大切なのだ。

舞台は見えているものだけで
すべてが構成されているはずがない。
見えないもの。たとえば、
役者ひとりひとりの、自分では意識されることのない
魂の在処もそのひとつであるはずだ。
これは恐ろしいことでもある。
でもね、そもそも、生きるということは、
そうした魂の在処を抱えていることでもあるはずです。
役者がその存在を確信したとき、
オーディエンスの魂のふるえる舞台ができるように思うのです。

くだんの友人は、遠く離れた地に住んでいる。
どうやらニュースで福岡の降雪のことを知ったらしい。
Stay warmの文字と「鍋」の絵文字の
シンプルなメールを送ってきた。
あはは。
でも、残念ながら、その日は「鍋」は食べなかった。
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