ニュース・日記

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風通信99

2017/06/01(Thu)
風通信 |
六月になりました。早いものだ。
ほとんど今年の半分が過ぎ去ろうとしています。

谷川俊太郎に「六月のうた」という作品がある。

あの日もあなたを好きだったのに
あんなに哀しかったあの日

あの日も私は私だったのに
あんなに苦しかったあの日

で始まり、

人気のない公園で
いつまでもぶらんこに座っていたあの日
アルバムにないあの日
日記につけられなかったあの日

と続きます。

冒頭の二連はそれぞれ二行構成。
シンタクス上、二つの意味内容が、
「のに」という逆説関係で連接している。
ところが、この逆説関係は、
順接関係でも表現することができると思うのです。

失礼を承知で、書き記すと、

あの日もあなたを好きだった から
あんなに哀しかったあの日

あの日も私は私だった から
あんなに苦しかったあの日

となります。

人を好きになるということは、
たぶん、哀しみを引き受けることになる。
そんな気がします。
私が私であり続けるかぎり、
それはやはり、かなり苦しいことではないでしょうか。
自分は大事だけれど、
自分が自分であるためには、
他者との繋がりがどうしても必要になる。
というかさ、
他者がいるからこそ自分がある。
そんな気がしている。
俺は俺で好きに生きるぜ、というのは格好いいけれど、
ずいぶんお気楽なスタンス。

僕なんか、
誰かにこの身を預けることが出来るなら、
それはそれで幸せのような気もするのです。
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