ニュース・日記

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風通信119

2017/09/03(Sun)
風通信 |
この二週間、若い友人と夕餉を囲む機会が続いた。
彼らが10代の頃から知っている友人である。
今ではそれぞれ、40代と50代のオジサンたち。
それに混じっての60代のジイさんである。
まあ、くだらない与太話ばかりです。愉しい。

僕が今でもこうして付き合う若い友人は、
受験勉強の詰め込みや、くだらない部活動、
無意味な競争、集団の抑圧、偽善的な規則などに
どう頑張ってもなじめなかった連中ばかりだ。
そういう人間と気が合うのは、
きっと僕自身がそうなのだろうと思うのです。

閑話休題

40代のオジサンたちは、全員が独身ゆえに、
ある種の身軽さを備えているんだけど、
背後に忍び寄る時間の重さを感じ始めている印象。

50代のオジサンたちは、それぞれが妻子持ちで、
与えられた場所で与えられた事を
村の鍛冶屋のように、日々こなしているという印象。

そして、60代のジイさんは、
藤原定家の
「見しはみな夢のただちにまがひつつ昔は遠く人はかへらず」
をまるで月見草のように静かに口ずさむのです。

40年以上も生きていると、
どんなに穏やかで整合的に見える人生にも、
必ず大きな破綻する時期があるものだ。
だから、そのことで嘆き、停滞するよりは
それをどのように通過するかを考えるべきだろう。
そもそも(というと大げさだけれど)
僕らが生きるということは、
負けるに決まっているゲームを戦っているようなものだ。
身を焦がすような恋や、ささやかな志など
多くのものを失ってきはずだ。
でも、失ったもののことは忘れた方がいい。
それより、いま自分が手にしているものの事だけ考えて、
日々を大切に生きた方がいいような気がする。

ところで、
こうして若い友人と夕餉を囲むことは多いのだが、
妙齢に達する若いご婦人方からお誘いがないのは、
これは、男性として、
喜ぶべきことか、悲しむべきことか、
我ながらちょっと迷いますね、ふふ。

今宵の月は十三夜。
風が緩やかに秋を運んでくる。
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