ニュース・日記

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風通信9

2012/03/20(Tue)
風通信 |
数えてみると、今年に入って観た映画は13本になる。
DVDだったり、映画館へ足を運んだりしたわけだが、
中でも、現時点での最高点は『ヒューゴ(のなんたらかんたら)』にとどめを刺す。
もし、誰かと、たとえば恋人とかと一緒に観たのだったら、
観終わってから、たっぷりとしたカプチーノを飲みながら、
感想(というほどのものはないけれど)いつまでも話していたいような映画だった。
でも、残念ながら、僕は映画館へは一人でしか入らない。
だから、ときどき、こうやって後悔する時がある。

僕は映画評論家じゃないから、かなり恣意的な感想になるし、
一度観たきりだから、誤認があるかもしれない。
けれど、時間の中に溶けていきそうなので、
とりあえず、記憶をたどって書いてみることにする。

なにより、マーティン・スコセッシの映画へのオマージュを感じるのです。
それはルミエール兄弟や、フランソワーズ・トリュフォーへのオマージュだろうな。
ルミエール兄弟の、あの列車がホームに入るシーンは、2〜3回繰り返されるし、
それは、主人公の夢の中にもバリエーションとして登場するし。
ヤレヤレ、うまいですね。
映画館へ通用口から無断で入り、支配人に見つけられてつまみ出されるのは、
まるでトリュフォーのイノセントな少年時代を思わせる。
さらに、その時観ていた映画がバスター・キートンで、
チャールズ・チャップリンじゃないところが嬉しい。
ただし、チャップリンの『街の灯』のパロディはあります。
ちなみに、この時のキートンのシーンは、
映画後半で主人公(ヒューゴ)の追っかけシーンで再現される。
ね、これだけでも出来た映画なんです。

音楽は、1930年代だもの、もちろん「パリ・ミュゼット」です。
あれをシャンソンと勘違いする人がいるだろうけど。
フューゴと共に冒険(といってもいい)をする少女イザベルが引用する
文学者の名前はほとんどがイギリス文学者。
フランス文学ではヴィクトール・ユーゴーだけだったと思う。
これもよく練られたシナリオだし、引用される詩の一節は、
なんと、クリスティーナ・ロセッティだった。
それを聞かされる公安役人はそんな作品も、詩人の名ももちろん知らない。
その間合いがなんとも良くできている。
ちなみにロセッティの『WIND』という作品は僕のコアです(笑)
そうそう、さりげなく(ディッケンズの)「デビット・コッパーフィールドみたい」
という台詞があって、それはフューゴの境遇とダブルミーニングする。
いやぁ、うまいなぁ〜。

文字を書く機械人形は老人の閉じられた過去を解き放ち、
フューゴの未来への希望を形象化するんだけど、
その表情は、深い哀しみに溢れるものの、
それが修理された時の喜びの大きさを準備するわけです。
人の夢はこうして実現されなければなりません。
ハート型の鍵を廻すと人形が動き始める。
そのシーンは、息を呑むほどの美しさです。
描かれたモノは、知る人ぞ知る映画史に残る画期的なシーンなのだ。

そして、スペクタクル。
映画も、もしかしたら演劇も、そこに尽きるのかもしれない。
たぶん、そこはオルセー駅で、
あの大きな時計の内部から見える
20世紀初頭のパリの遠景は良くできたCGだと思うが、
第三帝政時代の繁栄から、第一次世界大戦を経た時代の雰囲気も素敵です。
そういえば、最近、NHKがオルセー美術館のプログラムを作って、
女優のソフィー・マルソーに大時計の裏側を歩かせていたことを思い出した。
あ、つまらない話。
つまらないといえば、映画のタイトルはあんまりです。
これだけは、センスのなさを通り越して、日本語に対する意識が危機状態。
破壊球が美しい建物を叩き破るようなものだ。
廃油のようなコーヒーを呑んだような気分になる。

セックスもなく、人も死なない。
だから、ファンタジーなんだろうけど、
ファンタジーでなければ辿り着けない夢がある。
だから、「映画はハッピー・エンドでなくちゃな」というメリエス老人の言葉は、
そのまま、スコセッシの言葉なんだろうと。
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お祝い

2012/03/13(Tue)
本日は、本年のスケジュールを考えるミーティングを行いました。
といっても、私は遅刻して到着したら終わってたんですけど。
すいません。
次の稽古までの宿題が出ていたようです。

その後、ワークショップメニューを活用しての稽古を行いました。

で、終了後、タイトルの
tochi0312.jpg

3月12日が誕生日の栃原さんのお祝いです。
おめでとうございます。
おすそわけをいただきましたが、食べ過ぎの子がいたようです。

報告漏れがありましたら、補足よろしくです。


くぁなか
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