ニュース・日記

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風通信190

2020/06/10(Wed)
風通信 |
189便で書いた文章は依頼されて書いたものだったんだけど、残念ながら掲載されなくなった。内容が担当者のお気に召さなかったらしい。まあ、そういうこともあるよね。ちゃんと読んでくれたかどうかも分からない。理解はしただろうけど分かってはくれなかったというところかな。君は読んでくれましたか。たぶん、君のことだから、ある部分は分かってくれるんじゃないかと思うけどさ。対象だった高校3年生には読んでもらいたかったのでちょっと残念ながらでした。

今日は、今度の新作のことについて書きます。

2017年だったか、NTライブでゴルドーニの作品をブライトンに置き換えた『One Man, Two Guvnors』を観た話はした? すごくシンプルな笑劇で、始まって10分から終わりまで笑っていたんだよ。しまいには笑い疲れというのか、顎が疲れちゃって困ったくらいだった。主演のジェームズ・コーデンの間合いの巧さというか、オーディエンスとの距離の取り方とか、実に周到に計算されていて、あ、もちろん役者は全員イギリス俳優だから、みんな巧いんだけどね。ビデオがあれば何度でも観たいくらいなんだ。僕は、『リア王』を終えていたから、ほら、あの芝居は登場人物のほとんどが死んでしまうという恐ろしい芝居だから、その反作用かなんかで、カラッと笑える芝居が欲しくてツボにはまったのかもしれないと思う。

次に芝居を創るとしたら、こんな感じの芝居がいいなあと思ったんだよ。それで、いろいろ探してテレンス・ラティガンの喜劇と決めた。いつものように翻案して台本まで出来上がった。思いっきり仕込みを入れた芝居でした。ところがさ、役者が揃わず、流れてしまった。登場人物は15人です。はは。それも年齢層が多岐にわたる。頑張ってはみたんだが、どうにもならなくてね。こういうとき、俺も年をとったんだなぁとちょっと寂しくなったりしてさ。

前にも言ったと思うけれど、若い友人の別府があるとき、こんなのを書きました、と原稿を送ってきた。それがえらく面白くて。いや、喜劇じゃないよ。現代風ではあるけれど、ははぁ、今どきの男女関係ってこんなんかもしれないなぁと思ったわけ。これは演出してみたいと思った。それで、さっそく別府に連絡してみると、OKと言うことで、決まりです。まあ、作家としては上演したという人がいれば反対はしないでしょう、よほどのことがないかぎり。女の子のひとり芝居で、時間は「朝のひととき」。ついでなら、「昼のひととき」と「夜のひととき」も欲しくなった。別府に話したら、それいいですね、となって、それぞれ違う人物のひとり芝居の3本立てと決定。ただし・・・、とこれ以上は言えません。

僕の頭の中には、『One Man, Two Guvnors』が残っていて、あの芝居では幕間にスッキフル風の楽器を取り入れた60年代を彷彿とさせるバンドが登場するんだ。初期のブリティッシュ・ロックのようでした。冒頭から登場するので、れれ? これは芝居? と思ったくらいだったよ。これがいたく気に入っちゃてさ。これ、面白いかもと思った。そこで、旧知の椎葉裕に連絡を取ってみた。椎葉さんのことは話したことあったっけ? もう、かれこれ30年の付き合いになるけど、昔からアマチュアバンドをやっているのね。もう、彼しかいない、と思い込んでしまった。アマチュアの香りがプンプンするんだ、いろんな意味で。僕はお客さんが楽しくなるような音が欲しかった。だから、あまりガッツリと音を追求するようなバンドは欲しくなかったんだ。「フルフルズ」(これがバンド名です)はそれにぴったりのバンドなんだよ、いやほんとに。だって、いつも演奏は「フルフルズ」→「いっぱいいっぱい」なバンドですから。

演奏する曲目は大橋のココスで椎葉さんと相談して決めた。それについてはまたの機会に。そうそう、個々の作品のタイトルはあるんだけど、総合的な全体のタイトルをつけたくなって、いろいろ考えた。決定したのを別府に言ったら、一発OK。

Will You Still Love Me Tomorrow

これが総合なタイトルです。フフ。
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